
現在、結婚しても1/3が離婚する時代です。離婚が身近なものとなり、結婚する前にまさか時のための備えや、結婚を長続きするためにあらかじめ約束を交わす 「婚前契約書」 を作成する人が増えて来ています。
婚前契約書(プレナップ)とは
婚前契約書とは、結婚をする前に結婚に関する事などを取り決めをしておき、契約書を作成しておくことです。
もともとはアメリカ、ヨーロッパなどで広く行われていたものです。現在の日本では、ライフスタイルが多様になり、そのため結婚もたくさんのスタイルが生まれました。それに対応するためや、離婚率の上昇もあり日本でも普及してきました。

婚前契約書は2人が思う『結婚生活』をより具体的にして、離婚をしないために結婚生活の問題を事前に回避していく作業です。
なぜ結婚前に婚前契約書をつくるの? (法的効果について)
日本の法律で「夫婦間で取り交わした契約は原則としていつでもどちらかが取り消せる」(民法754条)と決まっています。
せっかく夫婦の間で約束事を決めても、結婚後は法律でいつでも取り消すことができてしまいます。通常、夫婦生活で問題が起こった時は、その都度話し合い問題解決(約束)を積み重ねて、結婚生活を強固なものにしていきますが、夫婦の約束が一方的に取り消せるという法律が有る日本だと、その積み重ねた約束自体がなかったことになりかねません。
また離婚となってしまった場合も、婚姻中の約束は取り消せるということになるので、納得いく形にならない場合が多いかと思います。
そのため、結婚前に作成する婚前契約書が重要となってきます。

婚姻中の契約はいつでも取り消せるので、結婚前に作る婚前契約書が重要になります。
婚前契約書はどんな内容?
婚前契約の内容は自由ですので、契約書に入れる決め事が1つでも100個でも大丈夫です。一般的な婚前契約書の決める内容として以下のことがあります。
- 夫婦生活について
- 仕事のことについて
- 子供のこと、子育てのことについて
- お金のことについて
- 親のことについて
- 万が一の場合について
- 契約をやぶった時について
①夫婦生活について
結婚生活はこの先長く続きます。生活に対しての思いは人それぞれ違うものです。結婚前に互いにどんな生活や思いがあるのか話し合い、決めていくことで、円満な生活を築けます。
例:互いに助けあい、互いを思いやり、感謝の気持ちを忘れない
互いの誕生日は必ず一緒に食事をする、など
②仕事のことについて
夫婦での共働きも増え、以前と比べ夫婦のライフスタイルも変化してきました。またフリーランスなど様々な仕事の形態があります。そのため仕事に対しての思いも人それぞれで多様かと思います。事前に話し合い書面にすることで、お互いの思いや生活のすれ違いを防ぐことができます。
例:夫婦ふたりが互いの仕事を尊重して協力し合います。
妻が主で働き、夫は妻を支えるものとします。など
③子供のこと子育てのことについて
子供を産むこと自体を考えているかや子育ての方針、子育てに対する役割分担などを事前に話し合い決めることで、子供や子育てに対するすれ違いを防ぎます。
例: 子供は作りません。
育児は夫が主に行い、妻がサポートします。など
④お金のことについて
夫婦でのお金の使い方、家賃や養育費等の分担など事前に決めておくことでトラブルを防ぎます。
例:十万円以上の買い物は事前に相談するものとする。
二人の収入は常に開示します。
ギャンブルはしません。など
⑤親のことについて
互いの親との関係も夫婦生活を円満にしていく中では重要なことです。事前に親とどう向き合っていくかなど話し合い決めることで、すれ違いを防ぐことができます。
例:両親と同居する場合や介護が必要になる場合は二人の話し合いをもって決めるとします 。など
⑦契約をやぶった時や万が一の時について
2人で決めた婚前契約を一方が破ってしまった場合どうするか。また、もし離婚となった場合の慰謝料、子供の親権や養育費などを事前に決めることで、辛い争いの長引きを防ぎます。また結婚前にきっちり決めることで戒めとし、離婚の原因を作ることを防止します。
例:一方から離婚の申し出があった場合には誠意をもって協議を行うものとする。いずれか一方が離婚に至る原因を作った場合、原因を作った者が相手方に対して300万円を上限とし慰謝料を支払うものとする。など

婚前契約書の中身は自由ですが、法律に抵触する内容「〇〇を破ったら殴る」などは無効となります。
婚前契約書の作成方法は主に3種類。

1.自分たちで作成する。
値段もかからずに手軽に作成できますが、有効的な婚前契約書にするためには法律や決められた作成方法など注意が必要です。
2.公証役場に依頼
公証役場で公正証書として作成してもらいます。時間や手間ともにかかりますが最も法的効果を期待できます。
3.行政書士などに依頼
作成方法などよく分からない場合、無効になるか不安などといった場合は専門家に相談するのが一番です。文案作成から、文案のチェックやご希望により、公正証書の作成のサポートまで行ってもらえます。