専ら物(もっぱらぶつ)とは?4品目・許可不要の理由・マニフェストの扱い

専ら物(もっぱらぶつ)とは、古紙・くず鉄(古銅等を含む)・あきびん類・古繊維のように、昔から再生利用のために集められてきた産業廃棄物のことです。これだけを集めて運ぶ業者には産業廃棄物収集運搬業の許可がいらず、そうした業者に専ら物だけを委託するときはマニフェストもいらない、と法令で決められています。

ただし、その「だけ」という条件を外すと、とたんに無許可営業になりかねません。この記事では、専ら物の意味と読み方、4品目の出どころ、許可やマニフェスト、委託契約書の扱いまでを、条文を確かめながら順番にお話しします。

専ら物は「4品目だけ」を扱い、本当に再生利用されるときに、許可とマニフェストがいらない産業廃棄物です。ほかのごみが1つでも混ざれば、ふつうの産業廃棄物のルールにもどります
ご相談者

解体の現場から出る鉄くずと段ボールを引き取ってほしい、と頼まれました。うちは産廃の許可を持っていないんですが、専ら物なら運んでも大丈夫なんでしょうか?

行政書士 広戸克義

鉄くずと段ボール「だけ」で、それがきちんと再生利用に回るなら、専ら物として考えられます。ただ、現場の荷物は木くずや廃プラが混ざりやすいんです。まずは中身と行き先を一緒に確かめましょう。

専ら物(もっぱらぶつ)とは?読み方と意味

「専ら物」は、ふつう「もっぱらぶつ」と読みます。「もっぱら物」とかなで書かれたり、「もっぱらもの」と呼ばれたりすることもあります。法律の中に「専ら物」という言葉そのものはなく、条文の長い言い回しを短く呼んだものです。

専ら(もっぱら)=「ひたすら」「それだけ」という意味。条文では「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」と書かれていて、はじめから再生利用されることが目的になっている廃棄物をさします。

ここで大切なのは、専ら物も廃棄物だということです。環境省も、専ら再生利用の目的となる廃棄物は有価物ではなく、廃棄物だけれど例外的に許可がいらないものだ、と説明しています。売り物ではなく、あくまで「ごみの中の特別な扱い」と考えると、わかりやすくなります。

許可がいらない根拠は、廃棄物処理法14条のただし書

産業廃棄物を集めて運ぶ仕事をするには、ふつうは都道府県知事の許可が必要です(廃棄物処理法14条1項)。その同じ項の最後に、許可がいらない人を書いた「ただし書」があります。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第14条第1項ただし書「ただし、事業者(自らその産業廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。」出典:e-Gov法令検索

処分の許可についても、同じ形のただし書があります(14条6項ただし書)。こちらは「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの処分を業として行う者」です。家庭や店から出る一般廃棄物にも、同じような定めが7条1項ただし書にあります。

どの条文にも共通しているのが、「のみ」という言葉です。専ら物しか扱わないから、許可がいらない。この一語が、専ら物の話のすべての出発点になります。

4品目は、どこで決まったの?

よく「専ら物は4品目」と言われます。古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維の4つです。

専ら物といわれる4品目 古紙 段ボールや新聞など くず鉄 古銅なども含む あきびん類 空きびん 古繊維 古布・古着など 品目は法律の条文ではなく、昭和46年の 厚生省の通知(環整43号)で示されたもの
専ら物といわれる4品目と、その出どころ

じつは、この4品目は法律にも施行規則にも書かれていません。出どころは、法律ができた直後の昭和46年10月16日に、厚生省環境衛生局長が都道府県知事などに出した通知(環整43号)です。

その通知には、古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を専門に扱っている既存の回収業者などは許可の対象とならない、という趣旨が書かれています。法律ができる前から続いていた資源回収の仕事を、そのまま続けられるようにした、というのが成り立ちです。

ご相談者

それなら、ペットボトルやプラスチックも、リサイクルするなら専ら物になりませんか?

行政書士 広戸克義

そこはよく聞かれます。環境省は、令和5年の通知でペットボトルや資源プラなどを許可不要とは書いていない、とはっきり説明しています。4品目の外のものを「専ら物だろう」と考えるのは危ないですね。

専ら物なら、何がいらなくなる?

専ら物だけを扱う場合に変わるのは、主に3つです。業者の許可、委託先のえらび方、マニフェストです。

ふつうの産業廃棄物専ら物だけの場合
収集運搬・処分の業の許可必要いらない(14条1項・6項ただし書)
委託してよい相手許可を持つ業者など専ら物だけを扱う業者にも委託できる(施行規則8条の2の8第2号・8条の3第2号)
マニフェスト引渡しと同時に交付いらない(施行規則8条の19第3号)
委託契約書書面で結ぶ条文に専ら物をはずす定めはない(くわしくは次の見出し)

排出事業者が処理を人に頼むときは、許可業者「その他環境省令で定める者」に頼むことになっています(12条5項)。この「環境省令で定める者」の中に、専ら物だけを扱う業者が入っています。

もう一つ、12条5項のかっこ書きには、「最終処分」とは埋立処分、海洋投入処分又は再生をいう、と書かれています。つまり法律では、再生されることも処理のゴールの一つです。専ら物は、再生されたところで処理が終わる廃棄物だといえます。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則 第8条の19第3号「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集若しくは運搬又は処分を業として行う者に当該産業廃棄物のみの運搬又は処分を委託する場合」出典:e-Gov法令検索

これが、マニフェストの交付がいらない場合の一つです。ここにも「のみ」が2回出てきます。専ら物の業者に頼んでも、専ら物以外のものを一緒に渡すなら、そのぶんはマニフェストが必要です。

委託契約書は、いらないの?

ここは誤解が多いところです。許可とマニフェストについては、上のようにはっきり「いらない」と書かれています。一方で、委託契約書については、専ら物をはずすという書き方が見当たりません。

排出事業者が処理を委託するときの基準は、施行令6条の2に書かれています。その4号に「委託契約は、書面により行い」とあり、この条文には専ら物だけを別にする定めはありません。千葉市の公式ページでも、専ら物の処理を委託する場合は、ほかの産業廃棄物と同じように書面での委託契約が必要だと案内されています。

  • 専ら物だけの委託でも、書面の委託契約を交わしておく
  • 契約書に、品目(古紙・くず鉄など)と行き先を書いておく
  • 引き渡した日・量・相手の記録を、自社でも残しておく
  • 扱いに迷うときは、事業場のある県や市の窓口に確かめる

山口県がどう扱っているかは、今回の確認では県の公式資料で見つけられませんでした。契約書は「いらない」と決めつけず、結んでおくほうが安全です。

ここまで読んで「うちの荷物は専ら物になるの?」と思ったら、品目と行き先を聞きながら一緒に整理します。初回相談は無料です。

ここで外れると、許可が必要になります

専ら物の例外は、条件がそろったときだけ使えます。実際のご相談で多いのは、次のような「うっかり」です。

「のみ」かどうかで分かれます 古紙とくず鉄だけ 古紙 くず鉄 専ら物として 許可はいらない 古紙と廃プラを一緒に 古紙 廃プラ 専ら物にならない 収集運搬の許可が必要
1台の車に、専ら物以外が1つでも混ざると許可が必要
  • 古紙やくず鉄と一緒に、廃プラスチックや木くずも積んでいる
  • 分別があまく、ほかのごみが混ざったまま運んでいる
  • 「資源回収」という名前でも、実際は焼却や埋立てに回っている
  • 4品目の外のもの(ペットボトルなど)も専ら物だと思い込んでいる

とくに3つめは注意が必要です。環境省の令和5年の通知でも、専ら再生利用の目的となる廃棄物であっても、それが再生利用されないと認められる場合には許可が必要だ、と念を押しています。名前ではなく、実際の行き先で見られるということです。

令和5年の環境省通知で、何が整理された?

条文は「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者」と書かれています。そのため以前は、ほかの廃棄物も扱っている業者は、専ら物についても許可がいるのでは、という受け取り方がありました。

専ら物についての2つの通知 昭和46年10月16日 厚生省の通知 古紙・くず鉄・あきびん類・古繊維を専門に 扱う回収業者などは、許可の対象にならない 令和5年2月3日 環境省の通知 ほかの廃棄物が本業の業者でも、専ら物の 処分などには許可がいらない ただし、再生利用されないなら許可が必要
昭和46年の通知と、令和5年の通知

この点について、環境省は令和5年2月3日付けの通知「専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて」で考え方を明らかにしました。専ら物以外の廃棄物の処分などを主な仕事にしている者であっても、専ら物の処分などについては、廃棄物処理業の許可はいらない、という整理です。この通知は、一般廃棄物と産業廃棄物の両方が対象です。

ただし、同じ通知で、実際に再生利用されないなら許可が必要だという点もあらためて示されています。「専ら物なら何でも自由」になったわけではありません。

4品目以外のリサイクル品は?

4品目に入らないものでも、再生利用される産業廃棄物は数多くあります。そうしたものを許可なしで扱える道が、まったくないわけではありません。

施行規則9条2号(運搬)と10条の3第2号(処分)には、「再生利用されることが確実であると都道府県知事が認めた産業廃棄物のみ」を扱う者で、知事の指定を受けたものは許可がいらない、と定められています。一般に「再生利用指定」と呼ばれる仕組みです。この指定を受けた者に、その産業廃棄物だけを委託する場合も、マニフェストはいりません(施行規則8条の19第6号・7号)。

再生利用指定(さいせいりようしてい)=再生利用されることが確実だと知事が認めた産業廃棄物だけを扱う者を、知事が指定する仕組み。指定を受けると、その産業廃棄物の収集運搬や処分に業の許可がいりません。

ただ、これは知事の指定が前提です。自分で「再生利用するから大丈夫」と決められるものではないので、まずは許可を取る道と合わせて検討するのが現実的です。

金属くずは、警察の手続きにも注意

くず鉄を扱う場合は、廃棄物処理法とは別のルールもあります。山口県では、金属くず類回収業に関する条例による許可や、特定金属くず買受業の届出といった、県警察が窓口の手続きが設けられています。

「産廃の許可はいらなかったけれど、警察への手続きが必要だった」ということも起こりえます。金属くずの買い取りや回収をお考えなら、両方を確かめておきましょう。

判断の順番をまとめます

専ら物として扱える? 1 4品目だけを扱う? 2 ほかのごみが混ざっていない? 3 実際に再生利用される? はい はい はい 専ら物として 許可・マニフェストは不要 いいえ 許可が 必要 ふつうの産廃
専ら物として扱えるかの判断の流れ
  1. 品目を確かめる運ぶもの・処分するものが、古紙・くず鉄(古銅等を含む)・あきびん類・古繊維の4品目だけかを見ます。
  2. 混ざりものを確かめるほかの廃棄物が一緒になっていないか、分別の状態を見ます。
  3. 行き先を確かめる引き取った後、実際に再生利用される先へ流れているかを確認します。
  4. 書面を整える専ら物でも、委託契約書と引渡しの記録を残しておきます。
  5. 迷ったら窓口へ判断がつかないときは、許可を取るか、県の窓口に相談します。

よくある質問

専ら物の読み方は?

「もっぱらぶつ」と読むのが一般的です。「もっぱらもの」と呼ばれることもあります。条文の「専ら再生利用の目的となる産業廃棄物」を短くした呼び方です。

段ボールだけを回収して運ぶなら、許可はいりませんか?

段ボールは古紙にあたるので、段ボールだけを、実際に再生利用される先へ運ぶのであれば、専ら物として許可はいらないと考えられます。ほかのごみも頼まれるようになったら、その時点で許可が必要になります。

専ら物を業者に渡すとき、マニフェストはいりますか?

専ら物だけを扱う業者に、専ら物だけの運搬や処分を委託する場合は、マニフェストの交付はいりません(施行規則8条の19第3号)。専ら物以外のものも一緒に渡すなら、マニフェストが必要です。

自社の廃棄物を自社のトラックで運ぶ場合は?

それは専ら物の話とは別で、事業者が自らその産業廃棄物を運ぶ場合として、14条1項ただし書で許可がいらないとされています。ほかの会社の廃棄物を運ぶなら、この例外は使えません。

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周南市・下松市・光市の廃棄物のことは、山口県周南健康福祉センター(廃棄物・環境指導班、周南市毛利町二丁目38番地、電話 0834-33-6429)が窓口です。専ら物にあたるかの整理から、許可が必要な場合の申請まで、まとめてお手伝いしています。

行政書士 広戸克義

この記事を書いた人 広戸 克義行政書士/周南行政書士事務所 代表

周南市呼坂の古民家で事務所を開いています。相続・遺言、建設業許可、農地の手続きを中心に、周南市・下松市・光市のご相談をお受けしています。

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参考にした情報(2026年9月25日確認)

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