遺産分割協議書を自分で作るときの注意点|周南市の行政書士が解説

遺産分割協議書は、相続人全員で「誰が、どの財産を取得するか」をまとめる大切な書類です。 自分で作成することもできますが、書き方があいまいだと、銀行・不動産・自動車などの手続きで困ることがあります。

この記事では、周南市で相続手続きをお考えの方に向けて、 遺産分割協議書を自分で作るときに特に注意したい 後日発見財産・不動産表示・預貯金・自動車・署名押印・印鑑証明 について、初めての方にもわかりやすく整理します。

あわせて、実際に書くときのイメージが持てるように、いくつかの記載例も掲載しています。

遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、亡くなった方の財産について、相続人全員で話し合い、 その結果を文書にしたものです。

たとえば、次のような内容を記載します。

1

誰が不動産を取得するのか

2

誰が預貯金を取得するのか

3

自動車やその他の財産をどう分けるのか

4

相続人全員がその内容に同意していること

書式自体は法律で細かく決まっているわけではありません。 ただし、実際の相続手続きで使うためには、財産の特定や署名押印の方法をきちんと整える必要があります。

まず確認したい基本ポイント

自分で作る前の確認事項

  • 相続人が全員確定しているか
  • 遺言書の有無を確認したか
  • 財産の内容をできるだけ一覧にしたか
  • 相続人全員が内容に納得しているか
  • 不動産・預貯金・自動車などの名義変更に使える内容になっているか

特に大切なのは、相続人全員の合意です。 一人でも合意していない相続人がいる場合、基本的に遺産分割協議書として完成しません。

相続人同士で意見が対立している場合や、誰かが納得していない場合は、 無理に書類だけを作るのではなく、弁護士などの専門家に相談する必要があります。

注意点1|後から財産が見つかった場合の書き方

遺産分割協議書を作った後に、別の預金口座、古い株式、保険、土地などが見つかることがあります。 これを、一般的に後日発見財産といいます。

後から財産が見つかった場合の扱いを決めていないと、 もう一度、相続人全員で協議し直す必要が出ることがあります。

遺産分割協議書を周南市で作成する際の相続財産整理イラスト
相続財産は、不動産・預貯金・自動車などを一覧にして整理しておくと安心です。

遺産分割協議書の記載例

ここでは、遺産分割協議書に入れることが多い記載例を紹介します。 実際には、相続人の人数、財産の内容、提出先によって書き方を調整する必要があります。

注意: 以下は一般的な文例です。そのまま使うのではなく、実際の登記事項証明書、通帳、車検証、相続関係に合わせて修正してください。

基本の前文の記載例

被相続人 〇〇〇〇(令和〇年〇月〇日死亡)の遺産について、 共同相続人全員は協議のうえ、次のとおり遺産を分割することに合意した。

誰の相続についての協議書なのかを明確にするため、被相続人の氏名と死亡日を入れておくと分かりやすくなります。

不動産を取得する場合の記載例

第1条 次の不動産は、相続人 〇〇〇〇 が取得する。

【土地】
所在 山口県周南市〇〇町
地番 〇番〇
地目 宅地
地積 〇〇〇・〇〇平方メートル

【建物】
所在 山口県周南市〇〇町〇番地〇
家屋番号 〇番〇
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 〇〇・〇〇平方メートル
    2階 〇〇・〇〇平方メートル

不動産は、住所ではなく、登記事項証明書に記載されている「所在・地番・地目・地積」「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」などを確認して書きます。

預貯金を取得する場合の記載例

第2条 次の預貯金は、相続人 〇〇〇〇 が取得する。

山口銀行 〇〇支店 普通預金
口座番号 〇〇〇〇〇〇〇
口座名義人 亡〇〇〇〇

銀行名、支店名、預金種別、口座番号、名義人を書いておくと、どの口座か特定しやすくなります。

複数の預貯金をまとめて記載する場合の例

第2条 被相続人名義の下記預貯金については、相続人 〇〇〇〇 が取得する。

1 山口銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
2 西京銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
3 ゆうちょ銀行 記号〇〇〇〇〇 番号〇〇〇〇〇〇〇〇

口座が複数ある場合は、番号を付けて整理すると見やすくなります。

預貯金を解約して分ける場合の記載例

第2条 被相続人名義の下記預貯金は、相続人 〇〇〇〇 が代表して解約し、 解約払戻金から必要な費用を控除した残額を、相続人〇〇〇〇、相続人△△△△が各2分の1の割合で取得する。

山口銀行 〇〇支店 普通預金
口座番号 〇〇〇〇〇〇〇
口座名義人 亡〇〇〇〇

代表相続人が解約手続きを行い、後で分ける場合は、誰が手続きし、どの割合で分けるのかを明確にしておくと安心です。

自動車を取得する場合の記載例

第3条 次の自動車は、相続人 〇〇〇〇 が取得する。

登録番号 山口〇〇〇 あ 〇〇〇〇
車名 〇〇〇〇
型式 〇〇〇〇
車台番号 〇〇〇〇-〇〇〇〇〇〇
所有者 亡〇〇〇〇

自動車は、車検証を見ながら登録番号、車名、型式、車台番号などを確認して書きます。

代償金を支払う場合の記載例

第4条 相続人 〇〇〇〇 は、第1条記載の不動産を取得する代償として、 相続人 △△△△ に対し、金〇〇〇万円を令和〇年〇月〇日限り、 △△△△指定の金融機関口座に振り込む方法により支払う。

なお、振込手数料は相続人 〇〇〇〇 の負担とする。

代償金を支払う場合は、金額、支払期限、支払方法、振込手数料の負担まで書いておくと、後日の行き違いを防ぎやすくなります。

後日発見財産を別途協議する場合の記載例

第5条 本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、 相続人全員で別途協議のうえ、取得者及び分割方法を定める。

後から財産が見つかったときに、改めて全員で話し合う形にする記載例です。

後日発見財産を特定の相続人が取得する場合の記載例

第5条 本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、 相続人 〇〇〇〇 が取得する。

この書き方は簡潔ですが、後から高額な財産が見つかった場合に不満が出る可能性もあります。 他の相続人が内容を十分理解しているか、慎重に確認してください。

葬儀費用などを相続人間で精算する場合の記載例

第6条 被相続人の葬儀費用その他相続手続きに必要な費用のうち、 相続人 〇〇〇〇 が立て替えて支払った金〇〇万円については、 相続人 △△△△ がその2分の1に相当する金〇〇万円を負担し、 令和〇年〇月〇日限り、〇〇〇〇に支払う。

葬儀費用は、厳密には遺産そのものとは性質が異なります。 ただし、相続人間で費用負担を整理するため、協議書や別紙合意書に記載することがあります。

債務・未払金の負担を相続人間で決める場合の記載例

第7条 被相続人の未払医療費その他の未払金については、 相続人 〇〇〇〇 が相続人間の内部負担として支払うものとする。

債務の負担を相続人間で決めても、それだけで債権者に当然に主張できるとは限りません。 借入金や保証債務がある場合は、慎重な確認が必要です。

署名押印欄の記載例

以上のとおり協議が成立したので、本協議書を〇通作成し、 相続人全員が署名押印のうえ、各自1通を保有する。

令和〇年〇月〇日

住所 山口県周南市〇〇町〇番〇号
相続人 〇〇〇〇 実印

住所 山口県下松市〇〇町〇番〇号
相続人 △△△△ 実印

住所 山口県光市〇〇町〇番〇号
相続人 □□□□ 実印

相続人全員が署名し、実印で押印する形が一般的です。 実印で押印した場合は、印鑑証明書も一緒に準備します。

注意点2|不動産は登記事項証明書どおりに書く

不動産を遺産分割協議書に書くときは、住所のような書き方ではなく、 登記事項証明書に記載されている不動産の表示を使うのが基本です。

土地の場合

  • 所在
  • 地番
  • 地目
  • 地積

建物の場合

  • 所在
  • 家屋番号
  • 種類
  • 構造
  • 床面積

固定資産税の納税通知書だけを見て書くと、登記上の表示と違っていることがあります。 不動産の相続登記にも使う予定がある場合は、登記事項証明書を確認してから作成することをおすすめします。

ポイント: 「山口県周南市〇〇町〇番〇号の自宅」だけでは、不動産を正確に特定できない場合があります。 周南市内の不動産についても、必ず登記事項証明書どおりに書きましょう。

注意点3|預貯金は銀行名・支店名・口座番号まで書く

預貯金については、どの銀行のどの口座を、誰が取得するのかが分かるように書きます。

預貯金の簡単な記載例

山口銀行 〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇
名義人 亡〇〇〇〇
上記預金は、相続人〇〇〇〇が取得する。

残高を記載するかどうかはケースによります。 残高は利息や引落しなどで変わることがあるため、 口座を特定できる情報を優先して書く方が使いやすい場合があります。

金融機関によっては、銀行所定の相続届や代表相続人の指定書類などが別途必要になることがあります。 遺産分割協議書だけですべて終わるとは限らない点にも注意しましょう。

注意点4|自動車は車検証を見て特定する

相続財産の中に自動車がある場合は、車検証を確認しながら記載します。 自動車は、預金や不動産と違い、運輸支局などでの移転登録手続きが必要になることがあります。

自動車で確認したい項目

  • 登録番号
  • 車名
  • 型式
  • 車台番号
  • 所有者の氏名又は名称
  • 使用の本拠の位置

普通車と軽自動車では、手続き先や必要書類が異なります。 また、ローン会社や販売店が所有者になっている場合は、 相続人だけで名義変更できないこともあります。 まずは車検証の「所有者」欄を確認しましょう。

注意点5|相続人全員の署名押印が必要

遺産分割協議書は、相続人全員が内容に合意したことを示す書類です。 そのため、相続人全員が署名し、実印で押印する形が一般的です。

書類が複数ページになる場合は、ページの差し替えを防ぐために、 契印をする、または袋とじにして割印をするなどの対応を検討します。

遺産分割協議書の署名押印と印鑑証明書の準備イラスト(周南市の相続手続き)
署名押印・印鑑証明書は、提出先ごとの扱いを確認して準備しましょう。

注意点6|印鑑証明書は提出先ごとの確認が必要

遺産分割協議書には、相続人全員の実印を押し、印鑑証明書を添付することが多くあります。 ただし、印鑑証明書の有効期限の扱いは、提出先によって異なります。

不動産の相続登記

相続登記では、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書について、 有効期限の制限がない取扱いとされています。

銀行・自動車など

金融機関や自動車の登録手続きでは、発行後3か月以内など、 提出先ごとの期限を求められることがあります。

実務上は、相続手続きを進める直前に新しい印鑑証明書を取得しておくと安心です。 ただし、相続人が遠方にいる場合は、取得や郵送に時間がかかることもあります。 早めに段取りを決めておきましょう。

自分で作るのが難しいケース

次のような場合は、自分で作成する前に専門家へ相談することをおすすめします。

  • 相続人の人数が多い
  • 兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる
  • 相続人の中に認知症の方、未成年者、行方不明者がいる
  • 相続人同士で意見が合わない
  • 不動産が複数ある
  • 農地、自動車、株式、事業用財産がある
  • 後から財産が見つかる可能性がある

特に、相続人同士で争いがある場合は、行政書士では対応できないことがあります。 紛争性がある場合は、弁護士への相談が必要です。

また、不動産の相続登記そのものは司法書士の業務です。 周南行政書士事務所では、戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書の作成、司法書士との連携など、 周南市・下松市・光市周辺の相続手続き全体を整理しながらサポートしています。

まとめ|遺産分割協議書は「使える形」で作ることが大切です

遺産分割協議書は、自分で作成することもできます。 しかし、相続手続きで実際に使うためには、財産を正確に特定し、 相続人全員の合意が分かる形に整える必要があります。

この記事のポイント

  • 後日発見財産の扱いを書いておく
  • 不動産は登記事項証明書どおりに書く
  • 預貯金は銀行名・支店名・口座番号まで書く
  • 自動車は車検証を確認する
  • 代償金がある場合は金額・期限・支払方法を書く
  • 相続人全員が署名し、実印で押印する
  • 印鑑証明書は提出先ごとの期限に注意する

「自分で作ったけれど、これで使えるのか不安」 「銀行や不動産の手続きで困らない形にしたい」 という方は、周南市の周南行政書士事務所へ早めにご相談ください。

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